データワークの仕事内容 ~画像アノテーションから地域データ整備まで~
- atsukomiyashita
- 9月10日
- 読了時間: 4分

はじめに
私たちが日々使っているサービスやアプリの裏側には、必ず「データの仕事」があります。地図アプリで最寄りのカフェを探せるのも、AIが正しく言葉を理解できるのも、災害時に避難情報がすぐ届くのも——その背景には、人の手で整えられたデータがあるのです。
いま、こうした「見えない仕事」に光が当たり始めています。
その一部が データワーク と呼ばれる領域です。
一見すると地味に思えるかもしれませんが、AI時代の社会を支える土台であり、地域や企業の可能性を広げる大切な営みです。
ここからは、代表的な仕事のいくつかを取り上げ、専門的な視点から解説していきます。
画像データのアノテーション
AIに「視覚」を与えるための基盤となるのが画像アノテーションです。カメラやセンサーで撮影された画像に対し、「これは人」「これは標識」といったラベルを付ける作業は、AIが現実を理解するための教師データづくりです。
事例
農業:トマトやイチゴの画像にラベルを付け、生育状態や収穫タイミングをAIに学習させる。
自動運転:道路標識や歩行者、自動車などを正しく区別できるようにアノテーション。
インフラ管理:マンホールや電気設備を識別し、点検・保全に役立てる。
👉 画像アノテーションは、AIの画像認識の性能を決定づける最重要工程のひとつです。
音声・言語データの整備
人とAIの対話を自然にするためには、音声や言語データの整備が欠かせません。単なる書き起こしではなく、「どの音素か」「誰の声か」「文脈は何か」といった情報を正しく付与することが求められます。
事例
音声合成:キャラクターや館内放送の合成音声をつくるためのデータ収集。
ナレーション:eラーニング教材やPR動画のための音声データ制作。
音素ラベリング:言語研究や音声認識モデルに必要な細かい音の分類。
👉 音声や言語データは、音声認識や自然言語処理の精度を左右する基盤となります。
テキストデータの設計と整理
文章データはそのままではAIが扱いづらいため、構造化や加工が必要です。ここで重要なのは「人の知識をどう整理し、AIが学べる形に変えるか」という点です。
事例
OCRで読み取った文書を整理・補正する。
専門用語辞書をつくり、検索や翻訳に活用できるようにする。
文章を要約し、チャットボットの知識データベースに登録する。
固有表現(人名・地名・組織名など)を抽出し、AIが文脈を理解できるようにする。
👉 テキストデータの整理は、検索サービスや翻訳、対話型AIの裏側を支える見えない仕事です。
地域・社会データの整備
データワークは企業だけでなく、自治体や地域社会の課題解決にも活かされています。地域に根ざした情報を整理し、誰もが活用できる形に整えることは、DX時代の地域インフラづくりそのものです。
事例
観光データ:地図や宿泊施設、観光スポット情報を収集し、旅行者向けサービスに活用。
防災データ:地震や火災時の避難行動を周知するための映像や案内データを作成。
地域ICカード:利用者向けのPR動画や関連情報の整備。
👉 地域データの整備は、地域活性化や住民の安心・安全を直接支える取り組みです。
共通するポイント
ここでご紹介したのはデータワークの一部ですが、すべてに共通しているのは次の3点です。
AIや社会システムの性能を左右する基盤づくりであること
人間の判断や文脈理解が欠かせないこと(AIだけでは精度が保てない領域がある)
常に新しい領域へ広がり続けていること(生成AIの登場により、知識の構造化や新しいデータ需要が急増中)
まとめ
データワークは、単なる入力作業ではなく、情報を価値ある形に変えるための専門的な仕事です。画像や音声、テキスト、地域データなど、その対象は幅広く、社会や産業の基盤を静かに支えています。
これからも新しい分野に広がり続けるデータワーク。その現場では、AIと人の協働によって「未来を支える情報インフラ」が日々つくられているのです。
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